「システムの評価指標」の解説
システムの性能
コンピュータの性能や信頼性、経済性などについて総合的に評価する指標を、「システムの評価指標」と呼びます。システムの性能を測るために、性能テストが行われます。性能テストには「レスポンスタイム」や「ターンアラウンドタイム」、「ベンチマーク」などの素表が用いられます。
- レスポンスタイム
- コンピュータに処理を行わせて、最初の反応が返ってくるまでの時間を計測します。
- ターンアラウンドタイム
- コンピュータに一連の処理を行わせて、すべての処理が完了し結果を返してくるまでの時間を計測します。
システムの信頼性
信頼性という観点からシステムを評価するために求められる指標が「稼働率」です。稼働率は「平均故障間隔(MTBF:Mean Time Between Failures)」、「平均修復時間(MTTR:Men Time to Repair)」などの値によって判断されます。
システムの信頼性を表す指標
信頼性の設計
信頼性を向上させるためのシステム構成や信頼性設計として、以下のような種類があります。
- デュアルシステム
- 2組のシステムで同じ処理を行いながらお互いにチェックしあいます。どちらかに障害があったときは片方が処理を続行します。
- デュプレックスシステム
- 2組のシステムのうち、一方を主系、他方を従系とします。処理はもっぱら主系で行い、障害があった際には従系が主系に替わって処理を行います。
- フェールセーフ
- 障害発生時の対処法をあらかじめ想定しておき、障害の影響を最小限に留めるものです。
- 例:一定以上の振動を感知すると、自動停止するヒーターなど。
- フォールトトレランス
- システムの多重化などにより、障害が発生した場合にも本来の機能をまかない、すべて維持できるようにすることです。
- 例:大型航空機。複数のエンジンうち一個がストップしても、墜落せず飛行を続けられる。
- フールプルーフ
- 仕様から外れた使い方をされても、障害が発生しないようなシステムを構築します。
- 例:プラスとマイナスを逆にして挿入しようとしても入らない電源。パーキングの位置にギアが入っていないと始動できない自動車など。
システムの経済性
システムを導入するときに掛かる「初期コスト」や、稼働をはじめてから掛かる費用である「運用コスト」など、ハードウェア購入費用や管理費、電気代といった全体的なコストを「TCO(Total Cost of Ownership)」と呼びます。TCOを削減するにはシステムの導入から運用、保守、あるいは障害時の修復費用などをライフサイクル化し、問題点を洗い出して克服してゆくことが大切です。TCOの削減により、システムの経済性は大きく高まります。
ポイント
システムの性能、信頼性、経済性の考え方と、これらを測るための評価指標について理解しましょう。