吉崎栄泰
読み方:よしざき はるやす
吉崎栄泰とは、世界的に有名なファイル圧縮プログラム(アーカイバ)「LHA」の作者である。1955年、北海道旭川市で生まれ。本業は医師で、北海道で内科の医師として働いている。札幌医科大学で内科学を専攻した。大学時代にその頃出たばかりのインテルのチップを手に入れるなど、コンピュータには相当早くから興味を持っていた。
パソコン通信の時代になると吉崎氏もはまりこんだ。1988年、当時高校の先生をしていた奥村晴彦氏(現在、松坂大学教授-三重大学教授)が、LZSS方式をさらに算術符号化するLZARIという圧縮アルゴリズムをPC-VAN上に発表したことに始まる。吉崎氏はこの奥村氏の圧縮方式を見て、算術符号化の部分をハフマン符号化に置き換えることでもっと効率的なアルゴリズムになるのではと考えた。その考えをもとにLZHUF方式を考案し、実際にその方式にもとづいたアーカイバのLHarcを作った。
1988年末になってLHarcをニフティとアスキーネットにリリースした。 LHarcは大反響をよんだが、その後も改良が続けられた。吉崎氏と奥村氏とは連絡を取り合い、奥村氏が米国の圧縮に関する論文を手に入れて吉崎氏に渡し、それを参考にして吉崎氏が開発するという協力もあり、LHarcのアルゴリズムの改良が進められた。
DOS版だった吉崎氏のLHarcはLHAとなり、その後多くのボランティアの協力を得てUnixやMac、Windowsなどほとんどのプラットフォームに移植された。またマニュアルは英訳されて、海外のユーザーにも広く認知されるようになった。Windowsの世界ではZIP形式 とLZH形式(LHAのファイル形式)が事実上の標準となった。特にLHAがフリーソフトとしてソースコードも公開されていた点は、他の圧縮ソフトとは違って歓迎された。1991年吉崎氏は米国のPCマガジン編集長賞を受賞。続いて1992年ロータスのミッチェル・ケイパー を迎えて行われた第一回フリーソフトウエア大賞では、吉崎氏は大賞を受賞した。
なお、LHAのMacintosh版としては石崎一明作のMacLHAがある。
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