テレビ
別名:テレビジョン
【英】television, TV
テレビとは、電波を用いて、遠隔地に映像を伝送し、受像機にその映像を再現する技術のことである。あるいは、そのために用いられる装置、特にテレビ受像機を指すことも多い。
テレビは、正式にはテレビジョン(television)というが、これは「遠隔地の」という意味の「tele」という語と、「映像」を意味する「vision」という語から合成された言葉である。
テレビにおいて、映像は撮像器(カメラ)で写し取られ、電気信号へと変換される。この時、「走査」(スキャン)ということを行うことによって、本来2次元に広がっている映像面を、1次元に変換する操作が行われる。映像は、まず上から順に、水平方向の線状の断片に分解される。この動作を順に下へ移動しながら実行すると、1枚の面は、複数の線の集まりとなる。この分解された信号が電波に乗り、放送波として受像機に送られる。受像機に届けられた電波は、信号を復号することによって映像信号が取り出される。
テレビ受像機は、放送波から取り出された映像信号を上から順に線形に再現して、1枚の画像として表示する。信号を再生する線は、画面の左右両端までを単位として、走査線と呼ばれる区切りで扱われる。1画面を構成する走査線の本数が多ければ多いほど、高い解像度が得られる。また、走査によって画面の更新を繰り返す回数はフレームレートと呼ばれる。フレームレートは高ければ高いほど、動作のなめらかな映像が再現できる。特に、スポーツ番組などのような動きの激しい内容の場合は、フレームレートの高低が顕著に影響する。
テレビ受像機が1枚の画面を構成する際、走査線を一本ずつ飛び越して偶数番と奇数番の2回に分けて走査する方式は、インターレース(飛び越し走査)方式と呼ばれる。日本でアナログテレビ放送の方式として採用されていたNTSC(National Television System Committee)では、インターレース方式が採用されている。ちなみに、NTSCのフレームレートは29.97fps(frame per second)である。
テレビ放送の前提となっている電磁波の存在は、1864年のマクスウェル(James Maxwell)の理論によって予言されている。その後、電磁波の存在が実証され、ブラウン管が発明され、走査方式の概念が発表され、テレビの試作・実験にかかる時代を経て、テレビが実用化されるに至った。1926年に高柳健次郎が機械・電子折衷式テレビを開発した事例が、世界初のテレビの実現とされている。1929年にはイギリスのBBCが実験放送を開始し、日本でも1939年にはNHK放送技術研究所が実験を開始している。
アナログテレビ放送の方式としては、日本のテレビで採用されたNTSC方式の他にも、PAL、SECAMなどの方式がある。近年では、デジタルテレビ放送の開発が進められており、ISDBやATSCなどの方式が実用化されている。2000年代後半、アナログテレビからデジタルテレビへの切り替えが漸次進められている。日本国内では、テレビ放送も2011年7月24日までにアナログ放送を停止し、デジタル放送に完全移行することが決定している。
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