無線LAN
読み方:むせんラン
別名:ワイヤレスLAN,無線ローカルエリアネットワーク,無線構内通信網
【英】wireless LAN, WLAN
無線LANとは、LAN(構内通信網)の構築形態のうち、特に無線通信を用いて接続された通信ネットワークのことである。
無線LANは、親機に当たる無線LANアクセスポイントと、子機に当たる無線LANアダプタによって構成される。最近のノートパソコンなどでは、無線LANアダプタを標準で内蔵している場合も少なくない。また、一般家庭で無線LANを構築する場合、無線LANアクセスポイントとして、ルーター機能を備えた無線LANルーターが利用されることが多い。無線LANアクセスポイントのほとんどは、LANケーブルを接続するためのハブとしての機能も備えており、有線LANと無線LANが混在する形でも利用できるようになっている。
無線LANは、ケーブルを必要とせずにネットワークに接続できるため、ケーブルを敷設することが困難な公共空間の一部施設では、公衆無線LAN(ホットスポット)と呼ばれる無線LANの提供が行われている。公衆無線LANが提供されている事例が多い場所として、ホテルや空港、ファストフード店などを挙げることができる。公衆無線LANは利便性が高い反面、無線を通じて不正にアクセスされるかもしれないというセキュリティ面での不安要素も強い。そのため、無線LAN製品には、WEPやWPA、WPA2といった暗号化機能や、MACアドレスを用いて通信機器を限定する機能など、さまざまなセキュリティ機能が用意されている。
無線LANを実現する方式としては、IEEE 802.11規格が最も普及している。2008年7月現在、無線LANのほとんどが以下のいずれか、もしくは複数の規格を採用している。
IEEE 802.11bは、1999年に策定された規格である。2.4GHzの周波数帯を利用し、理論上は最大11Mbpsでの通信が可能である。同規格が正式に策定される以前に、Apple(当時はApple Computer)がAirPortで採用し、他の無線LAN機器のベンダーも追従したことによって広く普及した。後にIEEE 802.11gが普及するまでは、無線LANの事実上の標準として扱われていた。
IEEE 802.11aは、IEEE 802.11bと同じ1999年に登場した、高速化への要求に対応するために策定された規格である。5.2GHzの周波数帯を利用し、理論上は最大54Mbpsの通信が可能である。伝送距離が短く、障害物の影響を受けやすいが、IEEE 802.11bやIEEE 802.11gに比べてノイズの影響を受けにくいという利点がある。
IEEE 802.11gは、2003年に成立した規格である。IEEE 802.11bと同様に5.2GHz帯で通信を行い、理論上は最大54Mbpsの通信が可能である。同規格はIEEE 802.11bとの互換性が高く、混在して使用することも可能である。IEEE 802.11bとIEEE 802.11gの両方に対応している無線LAN機器は多い。
IEEE 802.11nは、2008年7月現在策定中の規格である。MIMOと呼ばれる、複数の送受信チャネルを併用する技術を採用したことで、最大でIEEE 802.11gの5倍の通信速度と、約2倍の通信範囲を実現するとされる。IEEE 802.11b、IEEE 802.11g、IEEE 802.11aの無線LAN機器とも接続できることから、次世代の無線LANの標準規格として期待されている。Appleの各種製品においては既に同規格が搭載され始めている。
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