LSI
読み方:エルエスアイ
別名:大規模集積回路
【英】Large Scale Integration
LSIとは、多数のトランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサなどの電子部品(素子)を、一つの半導体チップに組み込んだ集積回路(IC)のことである。ICとほぼ同じ意味で用いられることも多い。
半導体集積回路は、「ムーアの法則」で表現されているように、時代とともに集積度と性能が指数関数的に向上している。1970年代には、1つの半導体チップに1000個~10万個の素子が集積されていたが、1980年代には、10万個~1000万個のレベルとなり、今日では、10億個以上の素子が集積されている集積回路も存在する。
半導体集積回路は、素子の集積度に応じて、次のように呼び分けられることがある。これによると、LSIは、集積回路の集積度の区分の一つにすぎない。しかし、実際に集積度に応じて呼び分けることは今日ではほとんど行われず、集積度にかかわらず「LSI」や「チップ」と総称される場合のほうが多い。
LSIの種類や用途は多岐にわたり、おおよそ以下のような分類において多用されている。以前はもっぱらコンピュータ部品として用いられてきたが、最近ではいわゆる情報家電における需要が急速に増大している。
マイクロプロセッサ(CPU)として。ここでは、LSIは計算処理を行うための装置として用いられる。コンピュータにおける計算処理だけではなく、いわゆるマイコン制御の家電製品やAV機器、産業機器などの制御装置としても利用されている。
メモリ(記憶装置)として。ここでは、LSIはデータやプログラムを記憶するための装置として用いられる。メモリの構造によって、DRAMやSRAMなどの揮発性メモリ、マスクROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどの種類がある。
ASIC(カスタムIC)として。ここでは、LSIは携帯電話機やゲーム機といった特定の電子機器向けに、その機器専用に設計された集積回路として利用される。
LSIは、高速化・省電力化のために微細化がほぼ極限まで進んでいる。例えば、素子の絶縁体(ゲート酸化膜)の幅は原子数個分にすぎなくなっている。既存の技術では微細化の限界が見えており、LSIの新しい素材や構造に関する研究が進められている。
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