「ネットワーク方式」の解説
ネットワークの構成
オフィス内で構築されるネットワークには多くの場合「LAN(Local Area Network)」が用いられます。LANは「構内通信網」とも呼ばれます。ある限られた範囲内で、独立したネットワークを構築する方式として、よく利用されています。
遠隔地同士で通信を行うためのネットワークを構築する場合には、公衆回線や専用通信回線を利用し、互いのLANを接続する方式が利用されます。LANに対して「WAN(Wide Area Network)」と呼ばれます。WANは「広域通信網」とも呼ばれます。
限られた範囲でのみアクセス可能なLANやWANに対して、世界中の公開されたネットワークを接続してアクセス可能にしているネットワークが、インターネットです。また、インターネットの技術を応用してLANを構築したものはイントラネットと呼ばれています。
LANにおける接続形態
LANにおけるネットワークの接続形態は「トポロジ」と呼ばれます。主に以下のような種類があります。
バス型
1本の伝送路を共有して複数のコンピュータを接続します。配線が比較的簡単という利点があります。
スター型
一つの集線装置(ハブ)を中心として、放射状に、「*」の形にコンピュータを接続します。端末の増設が比較的容易という利点があります。
リング型
複数のコンピュータが環状に接続されます。ケーブルの延長が比較的容易という利点があります。
ネットワークの構成要素
ネットワークを構築するために用いられる要素として、主に以下のような要素を挙げることができます。
イーサネット型LAN
「イーサネット(Ethernet)」はLANにおける標準的な通信規格です。物理的なケーブルとして、主にツイストペアケーブル(より対線)が利用されます。
イーサネットケーブルは、最大転送レートによっていくつかの規格があり、10Mbpsの「10BASE-T」、100Mbpsの「100BASE-T」、1Gbpsの「1000BASE-T」などがあります。ツイストペアケーブル以外にも、光ケーブルを使用した「100BASE-FX」や「1000BASE-CX」などの規格があります。
無線LAN
ケーブルを用いずに、電波や赤外線などの無線通信技術を用いて構築されたLANを総称して、無線LANと呼びます。各端末は無線LANターミナルと通信を行い、LAN内に接続されます。
無線LANの規格としては、最大転送レートが11Mbpsの「IEEE802.11b」、54Mbpsの「IEEE802.11a」、同じく54Mbpsの「IEEE802.11g」などがあります。
LAN構築のための機器類
ネットワークを構成するために必要な機器類としては以下のようなものがあります。
ケーブル
コンピュータや機器類を有線で接続し、LANを構築するために、LANケーブルが用いられます。LANケーブルには「カテゴリ5」、「カテゴリ5e」などの規格分類があります。また、コンピュータとコンピュータを直接接続する「クロスケーブル」と、ハブを仲介して接続する「ストレートケーブル」といた分類もあります。
ネットワークインターフェースカード
「ネットワークインターフェースカード(NIC)」、別名「イーサネットカード」は、端末にLANケーブルを挿すためのポートを設置するために用いられる拡張カードです。主にPCIスロットに装着して利用されます。
最近では、LANケーブルの接続ポートが標準搭載されているコンピュータが増えており、利用機会は以前に比べて減りつつあります。
ハブ
「ハブ(HUB)」は複数のLANケーブルを集約するための装置です。複数のコンピュータを接続する場合、ハブを通して通信させることで効率的が可能であり、一般的なLAN環境の構築には必ずといってよいほどハブが用いられています。
ハブの中でも、送られてきたデータをハブに接続されたすべてのコンピュータに再送信するタイプの「リピータハブ」と、送られてきたデータから相手先を読み取り、相手だけにデータを再送信する「スイッチングハブ」に別れます。最近ではスイッチングハブが利用される場合が多くなっています。
モデム、ターミナルアダプタ
インターネットやWANと通信するために用いる機器が「モデム」や「ターミナルアダプタ(TA)」です。コンピュータで扱われるデジタル信号を、電話回線などのアナログ通信回線でやり取りするために、信号を変換する役割を持っています。
ルータ
複数の異なるネットワーク間でデータのやり取りを中継するための機器を「ルータ」と呼びます。ルータはそのネットワーク内でのみ有効な「プライベートアドレス」を、インターネット上で一意に識別可能な「グローバルアドレス」に変換し、複数の異なるネットワーク間での通信を可能にします。外部のコンピュータにネットワーク接続されることから「デフォルトゲートウェイ(Default Gateway )」とされていることが多いのが特徴です。